「英語耳」で勉強したら発音が良くなるの?
本を買ってみたけど、具体的な使い方がわからない
「英語耳」を独学できるか自信がない
本記事では、上記のような悩みにお答えします。
英語の学習で「発音」ってものすごく大事です。
そして、「発音」を向上させるのに、「英語耳」はとっても役に立ちます。
むしろ、本書で発音を習わずに英語学習をするのはありえない!というくらいです。
ただし、「英語耳」には良くも悪くもいろいろな特徴があります。
使い方にも注意が必要です。
本記事では、「英語耳」の使い方からその効果まで徹底レビューをしていますので、これから学習される方は是非参考にしてみてくださいね。
Contents
「英語耳」とは、そもそもどんな参考書?
ユニークなタイトルの本ですが、基本的には内容はいたって正統な発音学習本です。
英語特有の発音(RとかThとか)を、発音記号とともに学べます。
本書を学習すれば、辞書に載っている発音記号だけで正しい発音の仕方がわかるようになります。
strong :strˈɔːŋ←こんなやつですね。
「なぜ知っている単語ばかりの英語でも聞き取れないのか?」という疑問に、著者は本書の”はじめに”で、以下のように解説しています。
大きな要因は、日本語で使う音と英語で使う音があまりにもかけ離れていることです。
(中略)
多くの日本人は、英語を聞いたときにカタカナに置き換えて聞いています。
そうなんです。
発音を理解しないとカタカナで置き換えてしまうのです。
なので、
とすべて同じに聞こえてしまうのですね。
「英語耳」では、正しい発音を学ぶことを通して、正しく聞き取りができることを目指します。
著者のカラーが色濃く出ている部分もあり、その点注意が必要です(あとで詳しく説明します)。
「英語耳」のレビュー【良い点】
さて、それでは早速「英語耳」の良い点から具体的にレビューしていきましょう。
わかりやすい発音解説(厳密性と分かりやすさのバランス)
何はともあれ、英語特有の音を分かりやすく解説してあるのは、本書で一番評価できるポイントです。
※英語耳 発音ができるとリスニングができる 第2章 Lesson10から引用
具体的なポイントとして、
・発音のポイントに加え、実際の発音に際しての具体的なアドバイスがある(Leran moreの項目)
特に二番目のポイントについて、たとえば「L(エル)」の発音に関するアドバイスとして、
・それ以外のLは、「ウ」に近い音
と、かみ砕いて説明してくれています。
(だいぶ省いて説明しているので、正しくは本書をご覧くださいね)
厳密性のみを追い求めると「日本語の××に近い音」という説明はNGになってしまいますが、本書では厳密性と分かりやすさのバランスをうまく取って説明を試みている点が素晴らしいと思います。
似た音の聴き比べ特別講座
本書のもう一つ良い点は、日本人にとって聞き分けが難しい音に関して、「特別講座」というコラムで集中的に取り扱っている点です。
例えば、「L」と「R」の聞き分けに関して、
ramp ⇔ lamp
rung ⇔ lung
read ⇔ lead
rip ⇔ lip
red ⇔ led
以下は「ア」「オ」系の発音のまとめ、という特別講座で設けられている音の聞き分け表です。
文字で見ると違いは明らかなのですが、音だけで聞くとなかなかどうして、難しいものです。
私ははじめはどれも同じ音に聞こえたものです…(汗)
※英語耳 発音ができるとリスニングができる 第3章 Lesson25 特別講座から引用
異なるスピーカの録音
「英語耳」では発音の録音を男性・女性のそれぞれ1名が担当しています。
これも地味に重要なポイントです。
CDの中の模範的なスピーカと言えども、やはりその人それぞれの”クセ”はあるものです。
一人のスピーカで音を覚えて、その後次のスピーカの音を聞くと、「あれ、さっきと感じが違う…!」なんてことも良く起こります。
どちらも正しい音なので、二人の音を聞いてバランスよく音を覚えるのが大事です。
男性のスピーカは後半に出てくるので、私は途中まで気づきませんでした…
「英語耳」のレビュー【悪い点】
さて、それでは「英語耳」の悪い点を、著者に忖度(そんたく)せず指摘していきたいと思います。
著者のコラム(自己成長期/発音と関係ない勉強法)
本書には、発音学習とは直接関係のない記載が多くあります。
その一つに、「私の英語学習歴」と題する著者の成長記録があります。
「私の英語学習歴7:1年間の英語にふれる量」という学習記録まで続きます。
内容はまぁまぁ興味を引く内容ではあるのですが、いかんせん多いのが気になります。
また「読書と音はつながっている」と切り出し、なぜか多読の必要性を説き始めます。
私も多読は大賛成なのですが、発音の本でわざわざ紹介しなくてもなぁ~と言った印象です。
とか
「多読に関する記載も参考になった!」
という意見もあるようですので、その点、本屋さんで実際に手に持って確認してみてくださいね。
発音ルールに関する記載がない
とか
「she」「shop」「push」のように、shがセットになると「ʃ」の音(シャの音)になる、
とか
そういうルールの記載がありません。
せっかくの発音の本なので、その点も記載があると効率的に学習ができて良かったな、思いました。
発音する単語の意味の記載がない
こんなことに不満を感じるのは私だけかもしれませんが、発音練習に使う単語に意味の記載がありません。
※英語耳 発音ができるとリスニングができる 第3章 Lesson15 特別講座から引用
「発音に練習が目的なので単語の意味は考えなくて良い」ということかもしれませんが…
でも、何度も聞くことになる単語なので、せっかくなら意味も知っておきたいじゃないですか…?!
ということで私は上図のように、自分で辞書で調べて記載していました(汚い字、すみません><)。
気にする人は少ないかもしれませんが、私は小さな不満だったので、一応ここで書かせていただきました。
「英語耳」の使い方(独学OK)
さて、本書の良い点・悪い点をレビューしてきましたが、ここからは具体的な使い方について紹介していきたいと思います。
使い方「STEP1」:まずは3周「内容確認」&「音の確認」
ここは正直、超~~大変だと思います。
というのも、初めて発音の勉強される方にとっては、学ぶことが多すぎるからです。
舌の動かし方から、発音記号まで、とにかく覚えることが多いです。
しかし、ここが勝負どころです。
英語学習で、「最初の難関「かつ「最大の難関」と言ってもいいかもしれません。
ここを乗り切れれば、たぶんあなたは今後も英語学習を乗り越えられるはずです。
【具体的な学習法】
以下少し具体的に説明しますね。
まず、各セクションの説明を一通り確認した後、CDで音を聞いてみます。
そしてここからが重要ですが、CDの後に続いて自分でも発音してみます。
Youtubeで実際、発音している方がいらっしゃったので、紹介します。
こんな感じでとにかく音に続いてリピートしましょう。
初めはあまりしっくりこないかもしれません。
「これで合っているのかな?」と不安になることもあると思います。
・CDで音を”そのまま”まねる
の2つのポイントさえ押さえておけば、問題ありません。
単調でつらいと思いますが、がんばりましょう!
使い方「STEP2」:音だけを流して発音練習
3周すれば音の出し方はだいたい頭に入ると思うので、ここからはCDのみで学習します。
STEP1の時と同様に、CDに続いて発音しましょう。
発音の仕方に自信がないところは、都度テキストで復習します。
このタイミングから女性と男性の双方の音を聞き、色々な音に慣れていきましょう。
STEP2では音だけで学習できるので、たとえば通勤時や入浴中、家事中といった「耳だけ暇」な時間を有効活用できるようになります。
私は英語耳を学習当時、往復1時間の車通勤の多くをこの発音練習に充てていました。
使い方「STEP3」:一般教材で音読・シャドーイング!
STEP2で発音の仕方が身に付いたら、いったん「英語耳」から卒業します。
ここからは「英語耳」の使い方ではなくなるので参考程度ですが、その後は一般教材で発音を鍛えていきます。
一般教材で学習する際には、とにかく個々の発音に注意をしながら音読を行います。
この時、発音がわからない単語はすべて辞書で調べて発音記号をテキストに書き込みましょう。
「時間がかかって仕方ない!」と思われるかもしれませんが、そのうち単語のつづりから発音記号がだいたい予測付くようになります。
そして、仕上げはシャドーイングです。
正しい発音の仕方を覚えているからこそ、シャドーイングによる発音矯正も効果が期待できます。
発音の仕方に不安を覚えたら英語耳に戻りますが、STEP2をしっかり行っていれば、それほど頻度は高くないと思います。
「英語耳」の効果
さて、学習が大変な「英語耳」ですが、気になるその効果についてはどうなんでしょうか。
以下、私の経験談としてお話しますね。
発音に関しては、「英語耳」を学習後、音読・シャドーイングでトレーニングを積んできました。
なので、「英語耳」だけの効果を取り出すのは難しいのですが、改めて思い返すに
効果と言えば、これが本当に大きかったなぁ、と感じています。
他の記事でも書きましたが、私は他の方から「発音きれいですね」と褒められることがあります。
では、「英語耳」を学習した直後からそのように言われたか?と言われれば、残念ながら「No」です。
けど逆に、「英語耳で学習しなかったら?」と考えたときに、「今の発音レベルには到達できなかった」ということは確信をもって言えます。
特に音読なんて、正しい発音を知らずに行うと、変なクセがついてしまいますからね。
なので、私の英語学習歴の中で、ある意味で「一番その後の学習に影響を与えた参考書」ということが言えると思います。
レビューまとめ【振り返って思うこと】
以上いかがだったでしょうか。
改めて「英語耳で勉強しておいて良かったなぁ~」と思うことは、自分の発音に自信が持てたことかもしれません。
自分の声は嫌いですし、録音した発音を聞くといつも気持ち悪くなります。
発音もまだまだしょぼいですし、いつになったらネイティブっぽくなれるんだろう、なんていつも考えています。
それでも、声を出して学習を行う音読は好きです。
上手く発音できてるなぁ~と思いながらする音読は本当に気持ちがいいものです。
そしてそう思える大きな要素に、「英語耳」で鍛えた自身の発音に対する自信があるのだと思います。
発音の勉強する一番の理由って、もしかしたら自分の発音を好きになることかもしれませんね。
その手助けをしてくれるのが、「英語耳」です。
長い英語学習です。
発音の学習は面倒くさいですが、腰を据えて勉強すれば、いつか必ず「やっておいて良かった~!」と思う日が来ます。
一緒に頑張りましょう。
以上お付き合いいただきありがとうございました。
こちらの書籍「【書籍レビュー】映画英語のリスニング【洋画学習を始める前に】」で詳しく解説されているので、興味のある方は合わせてご覧下さいね。