【間違った英語学習法】テキストを見ないでリスニング【挫折の原因】

良く奨励される学習法に、「まずはCDを聴いて理解につとめましょう」というのがあります。初めから英文を見ると、”答え”が分かっているので、リスニングの効果が薄れる、というものです。分からない英文を理解しようとするプロセスに、リスニング上達のポイントがある、という主旨ですが、実はこれ、英語初心者が行うと意味がないどころか、挫折の原因になりかねます

私は最近でこそ、多聴を目的に、初見の英文をいきなりリスニングすることも増えてきましたが、過去においては、ほぼ英文の確認→リスニングの順序で学習を続けてきました。それでもTOEICで問題なくリスニング満点を取る事ができました。

本記事では、なぜ音を先に聞く学習法をオススメしないのか、ポイントを整理して説明したいと思います。「やってしまってた!」という方は、是非内容ご確認の上、今後の学習に役立てて下さいね。

なぜ聴き取れないか?

初心者の方はなぜ英語が聴き取れないのでしょうか。この辺りに、本記事タイトルに対するヒントがありそうです。大きく分けて3つあります。

理由1:「英文の理解」の問題

そもそも読んで理解できない英文は、リスニングしても理解できません。リスニングとは、聴いた英文を頭の中で起こして、理解する作業だからです。初心者の時は特に、初見の英文をすぐ理解できることは少ないと思います。学習初期は、英文を理解するための基礎知識を拡大していくステージだからです。

リスニングにおいて、英文に含む単語、熟語、文法、構文、表現等を知っていることが大前提なのです。

理由2:「音の理解」の問題

英語と日本語は、音構造が全く異なります。それが理解の妨げになるのですが、初心者が聴き取りでつまずくポイントとして、何点か上げたいと思います。

音の繋がり

「Thank you」は、皆さん「サンキュー」と言いますよね。「サンク ユー」と発音する人はいないと思います。これはthankの「k」とyouの「y」が繋がるからなのですが、英語ではこのような単語同士の音の連結が、至る所で発生します。

音の変化

「little」は「リトル」ではなく「リロゥ」の様に聞こえます。「t」の破裂音の前に、舌が「l」に向かい始めるために、「t」音は破裂音に至らず、日本語の「ラリルレロ」に近い音になります。

音の消失

語尾の破裂音は消失しがちです。sit→「スィッ」という感じです。また同じ音が繋がると、一方の音は消失します。「want to」→「ワンットゥー」というイメージです。ただ、どちらの場合も、音があった部分にわずかな「間」が残ります(「ッ」で表現してます)。

音の強弱

「I play the piano」と言った時、「play」と「piano」は強く、「I」と「the」は弱く発音します。英語のイントネーションには強弱があり、弱い発音は音も短く、聴き取りが難しいです。

理由3:「処理速度」の問題

英文は見れば理解できるし、音も聴き取れているけど、結果として内容が頭に残らないということがあります。これは、脳の処理速度が、聴き取る速度に追い付いていないために起こります。一端は聴き取れているため、厳密な意味では、「聴き取れない」理由として記載するのは正確ではありませんが、結果として、英文を理解できないことから、ここで取り上げました。

この「理解できない」は一つの英文を理解しようと整理している間に、次の英文が流れてきて、脳がパンク状態になることから起こります。自分がリーディングできる速度以上で、リスニングはできないのです

「聴き取れない」を続けることの無意味

私はその昔、[速読速聴・英単語Daily1500]という参考書の英文を、通勤途中に毎日聴いていました。理解できない所も、「聴き続けて音に慣れることが大事」と何かで教わり、分からないストレスを我慢しながら、リスニングを続けていたのですが、一向に改善の予兆はありません。次第に、リスニング自体のストレスと、英語が伸びないストレスとで、英語学習自体をやめてしまった時期があります。

同時に私は、「英文の理解」も不完全「音の理解」も不十分「処理速度」なんて問題外の状態で、聴き取りを続けていたのです。伸びる訳がありません。

私の周りにも「毎日ニュースを聴くのが良いと聞いて始めた」と言う人が何名かいましたが、皆見事に挫折していました。私と同じように、基本的な「理解」が足りないまま、リスニングを行っていたのだと思います。

経験がある方なら分かると思いますが、分からない”音”はやがて、雑音と化します。「分からない」ストレスから逃れるため、脳が音をシャットアウトしてしまうのです。

正しい学習法

さて、上記内容を踏まえて、どのように学習を進めて行けばよいか、以下解説していきますね。

リスニング前に必ず行うこと

まずは、テキストを見て、分からない部分を調べ、内容を読み込み、「この英文は完璧!」という状態まで持っていきます。そこから始めてリスニングです。初心者の方は、具体的には下記で進めるのがオススメです。

(1)単語チェック(発音のチェックも忘れないで!)
(2)文法チェック
(3)意味の理解(和訳参照)
(4)文章を見ながらリスニング(音の確認)
(5)繰り返し音読(完璧!に持っていく)
(6)リスニング

音読については、【科学的に証明された】音読による学習法【失敗しない実践の仕方】で詳しく述べているので、是非こちらもご参照くださいね。本当に効果の高い学習法です。

さて、見て頂くと分かる通り、リスニングの前にすべき事がたくさんあります。「大変だなぁ」と思うかもしれませんが、英文をやり込んでから、リスニングを行うことで、

「英文の理解」の問題(英文が理解できない)
「音の理解」の問題(英文が聴き取れない)
「処理速度」の問題(英文の速度についていけない)

を解決することができます。

この状態で、繰り返しリスニングを行うことで、ドンドン「英語の音」に慣れていきます。音の変化や消失を当たり前の事として、脳が処理するようになります。イントネーションの強弱にも慣れ、聴き取りづららかった弱音にも、意識がいくようになります。連結して一塊(ひとかたまり)に聞こえていた音も、分解された単語として、聴こえるようになります

この状態になって、始めてリスニング能力は向上するのです。

リスニングから入るのはもっと後の話

最終的に英語を取得したいのであれば、多聴は必要です。多聴とは、初見の英文を多量に聴いていくことです。多聴においても原則は同じで、英文を理解でき、聴く速度についていける事が前提になります。

多聴を行うのは、中級→上級への段階で行います。TOEICで言えば、少なくとも800くらいのスコアは欲しいです。それまでは、テキスト確認→リスニングの学習で全く問題ありません。なにせ英語の音に慣れることが大事なのです。

英語学習全体のロードマップに関しては、【英語】勉強法で失敗したくないあなたへ【必ず納得します】で詳しく述べているので、宜しければ合わせて参照くださいね。

最後に

英語学習において、「継続」が最優先事項です。ストレスを貯めるような学習によって、結果、挫折したら意味がありません。本記事もその趣旨に基づいています。

ある学習法によって、自分が「辛い」と思ったときは立ち止まって、別の方法を探すのも大事です。たとえ効果が高い学習法だったとしても、それが継続できないのであれば、その学習法は少なくともあなたにとっては、「正しくない」学習法です。あなたが続けられる学習法を選びましょう。

以上、お付き合い頂きありがとうございました。

 

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