映画「ワンダー君は太陽」をご覧になったでしょうか。
話題になった映画の1つで、いじめや障害をテーマの1つにした作品ですが、主人公オギーは前向きな性格で気持ち良く見れる作品です。
そして本作、原作である洋書と合わせて、英語の教材として是非オススメしたい作品になっています。
本記事では、映画「wonder(邦題:ワンダー 君は太陽)」および洋書「wonder(邦題:ワンダー)」で英語学習を行った私が、”英語学習”という視点で2作を徹底レビューします。
難易度も低く非常に取り組みやすい作品になっていますので、洋書や洋画に興味のある方は是非最後までご覧下さいね。
※ネタばれには気を付けていますが、気になる方はやめた方が良いかもしれません。
Contents
「ワンダー 君は太陽」とは?
ワンダー 君は太陽のあらすじ
さて本作品を良く知らない方のために、まずはあらすじを確認しておこうと思います。
主人公オギーは特殊な病気によって生まれつき顔の形が変形しており、何回も手術を受けるも”普通”とはかけ離れた外見に悩んできました。
ホームスクールで母から授業を受けていたオギーは、両親の決意により小学5年生から小学校へ通うことに…。
見た目の違いから、当初オギーはいじめを受けますが、何とか学校生活に適応するため奮闘します。
家族の支えもあり、徐々に友人関係も築けてきたオギーを待ち受けるのは…
いじめや障害のテーマに付きまとう重い雰囲気はありません。
冒頭でも述べましたが、主人公オギーは前向きな性格ですし、それを支える家族や周りの人間は温かく、読後感は良いです。
私は普段、この手の小説は好んで読みませんが、それでも楽しめました。
本と映画がありますが内容は基本同じで、映画は比較的忠実に本の内容を演出しています。
英語のタイトルはwonder
英語のタイトルは「wonder」です。
邦画のタイトルの「ワンダー」を見て、「ワンダーってどんな意味だろう?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
辞書を調べますと、
とあります。
物語の最後の方(洋書では一番最後)に、母がオギーに対して
と言いますが、日本語のタイトル「君は太陽」はまさにこのセリフからですね。
洋書「ワンダー(wonder)」がオススメな理由
すぐ物語に入り込める:読みやすさレベル【YL】=4.0!
さて、本書オススメの一番の理由が「物語に入りやすい」というのがあります。
英語多読で挫折し易いのは、物語の始めの部分です。
登場人物の説明や時代背景の描写など、説明的な文章が多いため、「わかんないし面倒くさい!」となりがちです。
一方、洋書「ワンダー(wonder)」ではストーリは以下のように始まります。
I know I’m not an ordinary ten-year-old kid.
I mean, sure, I do ordinary things.
I eat ice cream. I ride my bike.
I play ball. I have an XBox.
Stuff like that makes me ordinary.I guess.
And I feel ordinary. Inside.
But …洋書”Wonder”から引用
どうでしょうか。
読んでみようという気になりませんか。
本書はすべて一人称で進んでいきます。
(後述しますが、主人公オギーだけでなく、別の登場人物の視点でも話が進んでいきます)
同じく英語多読用の洋書で有名な「Holes」よりもはるかに読みやすいと私は思いました。
ネイティブ向けの洋書なので、知らない単語や表現は出てきますが、ストーリーを追えている限りは楽しく読み進められます。
読みやすさレベル【YL】では「4.0~5.5」くらいの評価のようですが、個人的にはYL=4.0くらいの印象でした。
サクサク進む展開
本書、基本的に寄り道がありません。
主人公オギーを中心に物語がサクサク進みます。
伏線っぽいものはあまりなく、頭を使わずに読み進めることができます。
英語読書の場合、どうしてもペースが落ちる分、前に書いてあったことを忘れがちです。
たとえば推理小説ですと、色々な事件や出来事が最後にはつながってくるため、内容を覚えていないと楽しめません。
一方本作は、ストーリー自体は平易で、多少理解できないところがあってもその後への影響は少ないです。
異なる登場人物からの視線
本の構成としては、ここが秀逸です。
という風に1人称の視点が移っていきます。
姉ヴィアから見える主人公オギー
それぞれ独立した人格があり、それぞれの想いがあります。
ここに本書のひとつのテーマである「二面性」が現れます。
姉ヴィアは弟であるオギーを愛していますし、彼の見た目をバカにする周りの人間に心底腹を立てます。
一方で、弟中心に回る家族や、常に異形の顔をもつ”オギーの姉”として見られる人生に不満があります。
このヴィア(姉)の感情は、主人公オギー視点ではあまり明らかになっておらず、ヴィア(姉)視点ではじめて明確になります。
人は良い人・悪い人ではくくれません。
上記は一例ですが、
その登場人物たちは何を考えオギーと接しているか、
が視点を移すことで多角的に表現されているのが、本書の素晴らしい点だと思います。
洋書「ワンダー(wonder)」で気になる点
感動のラスト?
本作品を高く評価している方は、ほぼラストについても同様に、
温かい涙が流れます
等の感想ですが、私はラストはあまり好きではありません…
少し「ハッピーエンド過ぎる」というか「綺麗にまとまり過ぎている」というか、そんな感想です。
本記事を執筆するに際してウィキペディアを確認したのですが、本作品のネガティブな評価として、
オーガストと同じような障害を抱える当事者からは「障害者が直面している過酷な現実を無視している」「感動ポルノだ」という批判の声が上がっている
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
というものがあり、「なるほどなぁ」と思ってしまいました。
(オーガスト=主人公オギーです)
もちろん、本や映画はメッセージ性が求められますし、あまりにも現実路線では面白くない、という話もあると思います。
ただ人間の2面性にも焦点を当てて、途中までリアルな描写が続いていただけに最後は少し残念でした。
映画「ワンダー君は太陽(wonder)」と洋書「ワンダー(wonder)」で印象に残ったセリフ
さて、ここでは本作品の雰囲気を味わっていただくために印象に残ったセリフを3つ紹介したいと思います。
あなたは醜くない。あなたを知っている人はみんな知っている。
本セリフは映画からの引用です。
学校初日、学校でひどい扱いを受けて落ち込む主人公オギー。
「なぜ自分は醜いのか?」と問うオギーに対して、応える母のセリフです。
洋画”Wonder”から引用
映画の対訳は以下です。
洋画”Wonder”から引用
一応、用語・文法解説も載せておきますね。
care to : (興味をもって)しようとする
see : わかる、理解する2文目の主語はanyoneで、who cares to know youがanyoneを説明して、「あなたを知ろうとする人は誰でも」となります。
夕食の場で、家族に学校のことを色々と聞かれて、正直に答えなくない気持ちから強く反抗する主人公オギー。
自室まで追いかけてきた母との会話の中で、反抗的な態度に自責を感じたオギーは「ごめんなさい(I’m sorry)」と泣きながら謝るも、自分の見た目に対する不満を爆発させます。
オギーの長年の感情の蓄積やそれを支える母の気持ちが垣間見えて、映画前半のシーンながら涙腺が緩みます。
君の顔が見たい
こちらも映画からの引用です。
ずっと行方不明になっていたお気に入りのヘルメット(顔全体が隠れるタイプのもの)を、父親が隠していたことを知り怒るオギー。
それに対して、以下父親のセリフです。
英文と日本語訳をまとめて載せますね。
(君は、自分の顔のことをあまり好きだではないのは知っているけど、僕は好きなんだ)
It’s my son’s face.
(自分の息子の顔だ)
I wanna see it.
(君の顔が見たいんだ)洋画”Wonder”から引用
優しいだけでは不十分。必要以上に優しくあるべき
卒業式における校長先生のスピーチからですが、私が本の中で一番印象に残ったセリフです。
洋書”Wonder”から引用
直訳では、以下くらいでしょうか。
「kinder than necessary (needed)」というシンプルな表現ですが、
だから、「これで十分」と思うその一歩先の優しさを持って人と接していこう
という風に(本書の文脈の中で)私は理解しました。
オギーも周りの人たちの「kinder than necessary」に支えられた一人なのかもしれません。
「kinder than necessary」「kinder than needed」なんていかにもネイティブっぽい表現ですね。
映画「ワンダー君は太陽(wonder)」は超易しい!合わせてオススメ!
さて、ここからは映画「wonder」に焦点を当てた英語学習についてです。
ディズニー映画より優しいかも?!
まずオギーが小学生というのが全体の難易度を下げています。
オギーのセリフはもちろん、周りの大人も子供向けに話す場面が多く、簡単な表現が多いです。
また話す速度もほかの洋画と比べると、ゆっくりで聴き取りやすいです。
海外ドラマとかですと、何回聞いても「字幕の通り言ってないよね?」という問題が発生するのですが、本作ではそのようなことがほとんどありませんでした。
私が最近学習した「アナ雪2」よりも易しく、映画英語の中ではかなり取り組みやすい作品の1つだと思います。
そうは言っても最低限の文法は必要
ただ、そうは言っても最低限の文法知識は必要です。
「英語学習の気分転換に!」くらいなら良いのですが、本格的に洋画で学習をするのであれば、少なくとも中学文法は仕上げてからにしましょう。
またいきなり字幕なしで見ても理解できる部分が少ないと思うので、まずは字幕付きで見るようにしましょう。
分からなかった単語や表現を調べて、次回学習するとき用に整理しておきましょう。
発音:英語の発音を勉強する4つのメリット【本当に大切】
文法:【英語学習】英文法は必要?【ファイナルアンサ】
Amazon primeで楽しむ
「ワンダー君は太陽(wonder)」はアマゾンのプライム・ビデオで視聴できます。
アマゾンのプレミアムに入会の方は是非利用してみてくださいね。
「ワンダー君は太陽(wonder)」も含めて、初期設定では英語字幕を表示できないことが多いのですが、「プライム・ビデオ 英語字幕」でググりますと、英語字幕の付け方を解説しているページが複数出てきます。
日本語訳と英語字幕を同時に見れるので、効率的に英語学習ができますよ。
「洋書×映画」で相乗効果を狙え!
映画を読んだ後に本
これ、最強の学習法の1つです。
ストーリーを覚えていることに加えて、本と映画では表現も重複してくるので、学習の効率が高まります。
例えば、
2.本を読む→詳細を理解する
3.映画を英語字幕で見る→映画における表現を確認する
4.映画を字幕なしで見る→リスニングを鍛える
という風に学習を進めることができます。
英語読書では、日本にない文化や習慣が出てくると、理解が進まないことが良くあります。
英文自体は理解できるけど、イメージが浮かばない感じですね。
こんなとき、洋画を先に見ておくと映画の鮮明なイメージにリンクして理解できるので、効率が非常に良いのです。
「ワンダー君は太陽(wonder)」のまとめ
いかがだったでしょうか。
本・映画ともに初心者にフレンドリーで、初めてトライするには絶好の教材だと思います。
文法や構文を学習と並行して取り組めば、「学んだ表現が生の英語で実際に使われている!」という感動を味わえると思います。
そうすると、普段の英語学習においてもモチベーションが上がっていくと思います。
是非、英語学習の”スパイス”として、洋書と洋画のセット学習を取り入れてみてくださいね。
以上お付き合いいただきありがとうございました。