皆さんの中には、「英会話が苦手」「いざ話そうとすると、言葉が全然出てこない」「言いたいことが全然、伝わらない」という悩みをもつ方も多いのではないでしょうか。
それは、「話すための訓練が足りていないから」に尽きるのですが、そう言うと、「なるほど。それでは、オンライン英会話を始めよう!」と、多くの方が応えます。間違いではないのですが、英会話スクールはあくまでも、実践の場です。オンライン英会話を長いこと続けているのに、なかなか効果が出ない、という方は多くいらっしゃいます。実は、英会話スクールに通う前に、やるべきことがあるのです。
本記事では、英会話に対して絶大な効果がある「瞬間英作文」という学習法を紹介します。この「瞬間英作文」は、本来は、話すことを目的にしたトレーニングなのですが、それだけに留まらず、英語力全般を底上げしてくれる非常に優れた学習法です。
「自分の思うように英語を話したい!」という方は是非、最後までご覧くださいね。
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英語が出てこない理由
さて、本題に入る前に、そもそも自分が意図する言葉が出て来ないのはなぜなんでしょうか。実は、それは「英語の型」が、脳からすぐに引き出せる状態になっていないからなのです。
我々日本人は、「日本語の型」を無数に持っていて、それらを自由に使うことができるから、日本語が喋れる、と言うこともできます。以下、解説していきますね。
「英語の型」とは?
「英語の型」と言うと、文法を学習されている方は「英語5文型のことかな?」と思うかもしれません。それも含むのですが、ここではもっと広い範囲を指しています。理解頂くために、少し例を出しますね。
下記の日本語を、英語にしてみてください。
例文(日本語): 私に何かできることがあったら知らせてね。
いかがでしょうか。「時間かけたら、何とかできそう」とか、「部分的には訳せた」という方から、「検討もつかない!」という方もいらっしゃるかもしれません。
下記、回答例です。
例文(英語訳) : Let me know if there’s anything I can do.
上記、文法/構造的には下記のように分解できます。
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Let me know : Let+人/モノ+動詞原型で「人/モノに~させる」
if : 条件を表すif「もし~ならば」
there is : 「~がある」を表す構文
anything I can do : anything以下をI can doが修飾する関係代名詞
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(分からない方は、ここではスルーしてくださいね。)
ここでのポイントは、これらの「英語の型」=「基本的な文法、構文、語法等」を知らないと文の構成の仕様がない、ということです。「検討もつかない!」という方は、正にこの状態だと思います。更に回答できた方も、今後、スムーズに英会話を行うためには、「知っている」だけでは不十分で、それらを「瞬時に口から出せる」ようにする必要があります。
結局、文法が必要なのか?
上記を見て、「なんだ、結局は英文法の勉強をしないといけないのか…」と思われたあなた。答えは「Yes」なのですが、英会話において必要な「英語の型」は、非常に限定的です。中学レベル範囲の「英語の型」さえ抑えておければ、言いたいことの99%は伝えられるはずです。上の例も、実は全部、中学で学習した範囲なんですよ。
また、以降の章で説明する「瞬間英作文」は、「文法参考書を読んで、じっくり理解する」と言った、従来の文法学習といったイメージではなく、繰り返しのトレーニングによって、「型」を体に覚えさせる、筋トレに近いイメージです。文法書で解説を読んで、フラストレーションを溜める必要はありません。何となくでも理解したら、あとはひたすらトレーニングによって、頭ではなく、口の筋肉に覚えさせます。「習うより慣れろ」の世界なのです。
もちろん、将来、ニュースを理解したり、英語でディスカッション(協議)をしたり、映画を字幕なしで観たり、というレベルを目指すのであれば、やはり最終的には、高校レベル(+アルファ)の内容を身に付ける必要があります。覚える量も多いですし、構造も複雑で、例外事項もあったりと、正直骨が折れますが、これは少し先のお話です。
単語は必要か?
もちろん、知っている単語数が多いに越したことはありませんが、英会話のために、独立して単語学習をする必要はありません。高校卒業までに取得すべき単語数が概ね3000語程度ですが、NGSL※の基本単語2800語を知っていれば、日常会話の92%がカバーできる、と言われており、英会話に必要な単語は、実はそれほど多くないからです。この2800語には、「the」とか「and」等の、超基礎単語も含まれます。
「瞬間英作文」を行う中で、最低限の単語は身に付きますが、余裕があれば、「音読」や「シャドーイング」の中で、自然と覚える形で、語彙を強化していくのがオススメです。「音読」と「シャドーイング」は、「瞬間英作文」と並び、英語の根幹を形成する非常に大事な学習です。是非こちらの記事( 【科学的に証明された】音読による学習法【失敗しない実践の仕方】、【究極の学習法】シャドーイングの超絶メリット【やらないと損?!】)も参照くださいね。
※NGSL=New Generation Service List:イギリスの大学Cambridge Universityが所有する言語データ(コーパス)をベースに、日常で使用される英単語を頻度順に並び替えた最新のリスト
習慣英作文でトレーニング
習慣英作文とは?
さて、それでは、「瞬間英作文」による学習法を具体的にみていきましょう。「瞬間英作文」とは、字の通り、日本語から、”瞬間的”に”英語”で”作文”する学習法です。実は既に皆さんに実施してもらってまして、先の例文で、日本語→英語の翻訳が、この「瞬間英作文」に該当します。
例文(日本語) : 私に何かできることがあったら知らせてね。
例文(英語訳) : Let me know if there’s anything I can do.
スピーキングに対して絶大な効果
この「日本語」→「英語」の翻訳を”瞬時”に行おうとする時に、あなたの脳は、英文を構成するのに必要な「英語の型」を、記憶から探し出そうとします。これがハードな脳トレになっており、スピーキングに対して効果を発揮するのです。トレーニングを繰り返すことで、既に知っている「英語の型」をスムーズに引き出せる様になります。
英会話においても、同じ効果が期待されますが、「瞬間英作文」では、この「何だっけかな〜(困)」という状態を、強制的に作り出し、高速でトレーニングしていくことで、効率的に脳の回路を鍛えてくれるのです。
更に、知らない「英語の型」が出てきたときは、その都度、文法/構文/語法を理解した上で、「習慣英作文」できる様にトレーニングすると、自分の中の表現のバラエティーが広がっていきます。
「瞬間英作文」を徹底的に行っていくことで、あなたの英会話における「英語が出てこない」はなくなっていきますよ!
その他の効果は?
スピーキング以外にも、「瞬間英作文」には、様々な効果が期待できます。
【文法・構文・語法の強化】
「瞬間英作文」=「英語の型」のマスター、なので、当然ですね。文法は「瞬間英作文」を実施する前に、一通り中学レベルの参考書をざっと学習するのが、理想的ですが、並行学習を頑張れるのであれば、いきなり「瞬間英作文」に入ることも可能ですよ。
【リスニング力の強化】
意外かもしれませんが、リスニング強化のために、「瞬間英作文」を行う人もいるくらい、大きな効果が期待できます。これは、文構造の理解が早くなることに起因します。
例えば、”I want to make you happy”という文をリスニングするとします。個々の音は聴き取れても、”make you happy”の部分で「makeは、人を~させるだから、make youで・・・」といった具合に、頭で処理していたのでは、次々と英文を聴き取る必要がある実際のリスニングにおいては、支障が出ます。
これを解決するのが「瞬間英作文」で、自分で言えるレベルまで「英語の型」を頭に叩き込むことで、リスニング時に英文が瞬時に理解できるようになるのです。
【リーディング力の強化】
上記と同じ理由によって、リーディング力UPにも効果が期待できます。「速く正しく読む」ことが重要なリーディングにおいて、文構造を瞬時に理解できる能力は、その効果を遺憾なく発揮してくれます。
【単語力の強化】
未知の単語があった場合、「瞬間英作文」を行うことで、「今まで知らなかった単語」を、一気に「自分で使える単語」まで引き上げることが可能です。知っている単語も新たな語法を取得することで、より広い使い方ができるようになります。
私は昔、仕事で使う苦手な単語(覚えられない単語)を、瞬間英作文で頭にたたき込んでいました。顧客との会議の場で、相手の発言を理解できるだけなく、実際に自分で使えるようになり、その迅速な効果を実感することができました。
オススメの参考書
私は過去、多くの参考書で「瞬間英作文」のトレーニングを行ってきました。きっちりやり込んだ参考書だけで7~8冊、味見程度で学習した参考書を含めると優に10冊を超えます。ここでは、そんな中からオススメの参考書2冊を紹介したいと思います。
【どんどん話すための瞬間英作文トレーニング】
非常にオーソドックスな内容で、抑えるべき基本の文法・構文が網羅されています。良い意味で、著者の”我”が出ておらず、瞬間英作文の主旨にストレートに応えた参考書になっています。私が一番初めに「習慣英作文」を行ったのもこの本で、当時少なくとも30周はやったと思います。繰り返すごとに、自分のスピーキング能力が、上達するのを実感していました。
この本の批判する人に、「例文が自然ではない」「実際の会話で見ない表現ばかり」というモノがありますが、「瞬間英作文」は「英語の型」をマスターするのが目的ですから、必ずしも、例文をそのまま使える必要はありません。よくある教科書的な文章が大半なので、そこに拒否反応がある人は、下記の書籍の方が良いかもしれません。
【会話できる英文法大特訓 】
こちらも非常に人気のある本ですね。上記「どんどん~」と基本構成は同じで、文法・構文ごとにページが分かれていますが、もう少し実際の会話でそのまま使えそうな例文が多いです。日本語の方に、英文を引き出すためのヒントが記載されており、瞬間英作文しやすい様に工夫されています。かわいいイラストに騙されそうになりますが、レベルは上記「どんどん~」と同じか、やや難しいくらいです。これを仕上げれば、中学文法の理解に苦しむことは無くなるでしょう。
私はだいぶ後になって、この書籍を使いましたが、使用感が良く、ストレスなく進められました。当時のメモを見ると、私は過去12回ほど繰り返したようです。
ちなみに、2冊に共通して言えることですが、文法の解説はほぼありません。なので、もし文法に不安のある方は、これら参考書を使う前に、一通り中学文法を学習した方が無難かもしれません。
最後に
以上、「瞬間英作文」の効果と、具体的な学習法について見てきましたが、いかがだったでしょうか。
「瞬間英作文」は英会話に対して効果抜群です。もしあなたが、「瞬間英作文」でトレーニングを行った上で、オンライン英会話を利用すれば、まさに鬼に金棒で、みるみると「英会話力」が上達していくことは間違いありません。何よりも自分が伝えたいことを、英語で言えるようになるので、オンライン英会話が楽しみになるはずです。すると、「もっと早く、もっと正確に言える様になりたい」という欲望が生まれ、「瞬間英作文」の学習が加速します。そこまで行けばしめたもので、良い循環の中で、英語学習を継続できるようになります。
是非、騙されたと思って、「瞬間英作文」の学習を、今日からの英語学習に取り入れてみてくださいね。
以上お付き合い頂きありがとうございました。