皆さん、「シャドーイング」という学習方法をご存じでしょうか。
英語学習をしている方なら、一度は聞いた事があるかもしれません。
実際、以下のような方も多いのではないでしょうか。
シャドーイングのよくある悩み
- そもそものやり方がよくわからない
- トライしたことばあるが、難し過ぎて挫折した
- 口が回らずに、音声に追い付けない
- 実践しているけど、正しくできてるか自信がない
私もシャドーイングを始めてやり方がわかるまで、上のすべてのパターンを経験しました。
具体的なやり方が良く分からないし、いざ始めるととにかく難しい!!
一方、
英語学習でシャドーイングをやらないのは本当にもったいないです。
本記事では、「そもそもシャドーイングって何?」というところから「シャドーイングの効果」までじっくり解説しています。
シャドーイングを英語学習に取り入れようと考えている方は必読ですよ。
その経験を踏まえて丁寧に解説していきますね
そもそもシャドーイングとは?
まず始めに「シャドーイングとは?」というところから説明をしたいと思います。
元々は、同時通訳のトレーニングとして知られていましたが、その効果が認められ一般の学習者にも広まりました。
イメージとしては、下記の様に聴こえてきた音を1-3語遅れで発音していく感じです。
(自分) I am so happy because of you.
(あなたのおかげでとても幸せです)
同時通訳者の方が実演している下記の動画が、イメージを掴むのに参考になると思います(13秒からシャドーイングが始まります)。
いかがでしょうか。
何となくイメージできたでしょうか。
シャドーイングは難しい?
冒頭でも少し触れましたが、シャドーイングはとにかく難しいです。
シャドーイングが難しい理由1:聴き取れないとできないから
「聴き取れた英語を発音する」のがシャドーイングなので、まずは聴き取れない事には始まりません。
これがシャドーイングが難しい理由の1つ目です。
まずは聴き取って、意味をある程度理解できる必要があります。
当然ながら長続きするはずもなく、早々に挫折しました。
シャドーイングが難しい理由2:喋りながら聴き取る必要があるから
この「喋りながら聴き取る」というのが、慣れないと非常にやっかいです。
喋ることに神経が向くと、その間の聴き取りがおろそかになっていまします。
逆もまた然(しか)りで、リスニングに集中すると、気付いたら口が動いていないということになります。
またシャドーイング初心者であるあるなのが、「自分の声でリスニングが聞こえない」ですね。
自分の声のボリュームも、慣れないと塩梅(あんばい)がわからないものです。
私は始め「無理だ!」と思いました。
同時に二つの作業を行うのは、本当に大変です…
シャドーイングが難しい理由3:自分でペースを決められないから
音声に合わせて発声していく必要があるので、自分でペースを決められません。
必然的に「口が回らない」という悩みが出てきます。
だからこそ訓練になるのですが、これが何せフラストレーションになります。
始めは「喋れない・口が回らない」で本当にグダグダになります…
効果絶大!シャドーイングのメリットとは?
音読と並び多重プロセスを伴う作業であり、特に「リスニング」および「発音改善」に対しては劇的な効果が期待できます。
シャドーイングの効果その1【リスニング力UP】
皆さんは、
「集中しようとするのだけど、すぐ関係のないことを考えてしまう」
という経験をしたことはないでしょうか。
実はリスニングって、[無意識に聞き流すこと]や[聴いているけど頭で処理していない]ということが良くあります。
それを防いでくれるのがシャドーイングです。
聴いた音をすぐ発音しないといけないので、[聞き流し]や[聴いているけどスルー]ということは起こりません。
また求める精度も異なります。
シャドーイングでは冠詞の「a」や「the」、複数形の「s」から過去形の「ed」まで完全コピーを目指すため、細部まで聴き取ろうと集中します。
シャドーイングの効果その2【発音・イントネーションの改善】
皆さんは何となく「リスニングをして正しい音を聴けば、発音も自然に綺麗になる」と思っていませんか。
残念ながらこれは正しくありません。
例えば、TOEICリスニング満点でも発音があまり綺麗でない人は少なくありません。
やはり、自分で発音するプロセスがないと発音は改善しないのです。
シャドーイングにおいては、音を聴いた「直後に」発音することになります。
正しい音が耳に残っている間に自分で発音することで、大きな改善効果が期待できるのです。
以下少し具体的に見ていきますね。
音の変化を学べる
この「not at all」ですが、「ノット アット オール」ではなく、「ノラロー」のように聴こえます。
なぜそのように聴こえるのか、興味のある方は以下ボックスを覗いてみてくださいね。
「t」音が軟化して、日本語の「ラリルレロ」に近い音に変化
・notの「t」の「ラリルレロ」に変化
・atの「t」の「ラリルレロ」に変化
単語同士の音が連結
・notの「t」と、atの「a」が連携
・atの「t」と、allの「a」が連結
これらが複合されて、「not at all」は「ノラロー」のように聴こえます。
英語にはこのような音の変化が数多くあるのですが、いちいち分析していたら時間がいくらあっても足りません。
そこでシャドーイングです。
個々の単語の発音を学べる
加えて、個々の単語についても正しい発音を学ぶことができます。
例えば英語特有の音に、boxs[bɑ’ks]の「ɑ」の音があります。
この「ɑ」は、口を大きく開けて「オ」の音を少しだけ混ぜて「ア」と発音するのですが、正しく発音できている日本人は多くありません。
正しいイントネーションが身に付く
イントネーションは、音の変化や個々の単語の発音よりも実は重要なポイントかもしれません。
英語には独特の抑揚が存在し、どの音もほぼ均等に発音する日本語とはだいぶイントネーションが違います。
例えばこんな感じです。
【日本語的】What made you decide to go to college?
【英語的】What↑ made you decide to go to college↓?
※↑↓は声の高低を表しています
実はこれも「内容語(動詞や名詞)は強めて、機能語(人称代名詞や前置詞)は弱める」という法則に基づくのですが、シャドーイングを続ければ自然と身に付くので特に覚える必要はありません。
メリットその3【リスニングの分解脳が向上する】
発音できる音は鮮明に聴こえます。
これは、リスニングを100回しても体験できない感覚です。
シャドーイングの後に通常のリスニングをすると、非常に鮮明に音が聴こえてびっくりすると思います。
メリットその4【英語表現の定着】
英文の中で出て来る単語やフレーズ、慣用句を覚えることができます。
シャドーイングでは基本的に同じ文章を繰り返して使うことになるので、出て来る表現は発音とセットで確実にストックしていく事ができます。
この「発音とセットで覚える」ということのメリットは大きいです。
例えばput it on(着る)という句動詞を「プット・イット・オン」のように日本語的に覚えるのではなく、実際の音である「プリロン」の様に覚えることで、実践的な知識を身に付けることができるのです。
メリットその5【文法知識の定着】
意外かもしれませんがこれも重要なポイントです。
文法事項は一度文法書で学んだだけでは、なかなか実践的に使うことが難しいです。
実はシャドーイングを繰り返すことで、文法知識の定着を図れます。
というのもシャドーイングを行う際、英文の中で意味の塊を見つけようとするため、自然と既知の文法事項をフル活用するのです。
例えば、
・I xxx lived here since thenと言う文章で、xxxが聴き取れない場合でも、現在完了の文章と推測して「have」を補ったり
といった感じです。
メリット番外編【私自身の経験】
私自身、シャドーイングによって本当に大きな恩恵を受けてきました。
まずリスニングについて、
以前は海外顧客との会話でも、意図しない返答があるとすぐ理解できなくなってしまっていました。
ところがシャドーイングを始めてから、どのような状況においてもある程度聴き取りができる自信がつきました。
もちろん知らない単語は聴き取れないですし、相手の意図がつかめずに聞き返すということは今でもあります。
ただ一つ一つの発音が、以前よりずっと明瞭に聴こえるようになりました。
英文が分解して聴こえるイメージです。
また発音についてですが、
シャドーイングを始めてから、海外顧客や社内の通訳の方から「発音が綺麗で聴き取りやすい」というお褒めの言葉を頂くようになりました。
以前はそのようなことを言われた事がなかったので、シャドーイングによって発音がブラッシュアップされていったのは間違いありません。
もちろん私自身もまだまだ発展途上であり、リスニングも発音も全くもって完璧ではありません
ただシャドーイングの効果は確実に実感していますので、引き続きメインの学習法として継続していきたいと考えています。
シャドーイングという学習方法【まとめ】
いかがだったでしょうか。
私自身、効果を実感しながらも、当時シャドーイングはなかなか継続して行えませんでした。
それは「シャドーイングが難しいから」に尽きます。
シャドーイングできないストレスや、正しくできているのかの不安、これが学習の大きな妨げとなっていたのです。
実際シャドーイングの学習で挫折する人は非常に多いです。
本記事では、「シャドーイングの効果」に焦点を当てて解説してきましたが、読者の中には「実践したいから、詳細なやり方を教えてほしい」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
実際シャドーイングを行うに際しては注意すべき点もありますので、具体的なやり方についてはまた別途記事にしたいと思います。
本記事をきっかけに、一人でも多くの方がシャドーイングによる英語学習に興味をもって頂けたら幸いです。
以上お付き合い頂きありがとうございました。